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2000年9月頃の上高地

みどりさんとの出会いは・・・どう表現したらいいのだろう?
驚きというよりも、壁も障害もなく自然だったことが不思議だった。

水辺の風が心地よい季節を繰り返し幾度となく過ごしてきても、
ここを訪れるたくさんの人間の中で僕の存在に気づいたものはいない。
人間は、嗅覚や気配という野性の本能を犠牲にし頭脳を進化させた。
同時にもののけや僕らとの関わりあいも閉鎖してしまった。
 
僕のテリトリーはカッパ橋から横尾までと、
大正池からカッパ橋までをテリトリーとしている
仲間の「チップ」よりもかなり広範囲だ。
あの日も人間の騒々しさに目を覚まし
いつものように蕗の上で寝そべったまま人間観察をしていた。
相変わらず様々な人間が行き交う。バスからゾロゾロ降りてきて、
赤い顔の口元から
煙を吐きながら歩いているもの。
こいつが野に放つおしっこは臭くてたまらない。
かかとの高い靴を履き、「キャッキャ」言いながら木道を行くもの。
この手の奴は、明神池からのリターン時に「も~歩けない!」なんて騒ぐ。
大きなリュックを背負い、重装備で「涸沢」などに向う
「登山家」と言われているもの。
皆歩き方が様々だが、
この地への思い入れの差であると感じている。
そんな観察に飽きた頃、ボス猿「ヤース」が現れたので
彼の背中に乗せてもらい散策することにした。
ヤースの見てくれは強面だがとても気が優しい。
梓川右岸の木道付近は人間の声がうるさいので、
水際を選んで上流に向かった。
川の上を流れゆく風に清涼感を感じ、
ついつい何度も深呼吸してしまうが、こんな水香る今の季節も僕は好きだ。

明神橋手前まで行くと木陰に身を預けたまま膝を折り曲げ
うずくまっていた人間がいた。
するとそこからいい匂いがしたので、
僕はヤースから飛び降り近づいていった。
距離が縮まる度に懐かしさが膨らんでいく不思議な香りだった。  つづく

       蕗の葉下の住人 20年10月29日(水)
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