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みどりさんをバスターミナルで見送った日から数え、
八つ目の朝を迎えたときに再び河童橋にやってきた。
懐かしい香りに一瞬目眩がし、
初めての出会いが遠い過去の、そしてつい先ほどのようにも感じられ、
その二つが交錯していることが不思議だった。
 
この日は仲間を呼んでみどりさんを出迎えた。
「コロン、おはよう!元気だった?」
「うん、ちょっとした事件があったけれど、後で話すね。
今日はここにいる僕の仲間を紹介するよ。こちらから…」
「ちょっ、まっ、待って…私にはコロンしか見えないわ。
本当にあなたの周りにお仲間がいるの?」
「うん、みどりさんには僕しか見えないの!?」
「ええ・・・」
「そうか・・・なんとなくそんな気はしていたけど、まさか・・・」
「そう、そのまさかなの。あなたしか見えないの・・・」
この会話を聞いて仲間たちは散らばっていった。
みどりさんは承知していたかのように、ことの追求をせず
河童橋に向かい歩き始めたので、僕はみどりさんの右肩に乗り
匂い袋が発する懐かしい香りを一気に吸い込むため思い切り深呼吸した。
 
河童橋を右岸ルート側に渡った。
「う~ん、やっぱりここの空気は気持ちいいー!」
みどりさんは両腕を広げゆっくり深呼吸した後
人間が作り上げた土手に腰掛けた。
「あの入道雲に心までふわふわしてしまうわ。」
「僕も柔らかい白い雲にいつも優しさを感じている。」
みどりさんは顎を上げ、暫く入道雲に釘付けになっていた。
そして急に思い出したように、
リュックから人間の手のひらサイズの木箱を出し
丁寧に蓋を開け、一枚の紙を取り出し広げた。
「あの日、自宅に帰ってから母の和ダンスからこんな物を見つけたの」
その紙はみどりさんの手のひらの半分ほどで、枯葉のような色をしていた。
そこに小さく記されていたものは「つぎのじだいに」
「 『つぎのじだいに』 いったいこれはどういう意味かしら?
わかっていることは 『つぎの』 ということは、未来ということになるでしょ?
この匂い袋のことも含めて、
私とコロンとの偶然ではない出会いに繋がっているとは思うけれど、
そこから先がわからないの・・・」  つづく

     蕗の葉下の住人 21年1月31日(土)
 
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