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「長老と姥は特別。
随分長い間コロボックルたちを治めているらしい。」
「不思議ね、長寿の薬でも飲んだのかしら・・・?
でもあなたのこの匂い袋の記憶も含めて確かめてみたいわ。」
「涸沢まではここからかなり遠いから今日は無理だよ。
僕も横尾から先は足を踏み入れたことはないしね・・・」
みどりさんは肘を上げ、腕時計を確認しながら
「そうね、今日はあきらめるけれど、次にここを訪れる目的ができたわ。
そろそろバスターミナルに戻った方がよさそうね。
名残惜しいけど、私が次にここに訪れるときまで元気でいることを約束してね。」
「僕は大丈夫。それよりみどりさんも無事に戻ってきてね。」
「わかったわ、約束する」
みどりさんが靴の紐を締め直した後、リュックを背負ったので
僕は再びみどりさんの左肩に飛び乗った。
「ところで、あなたの仲間も人間の言葉を理解できるの?」
「うん、大正池から横尾まで人間流に数えると、
僕を含めて8人のコロボックルが暮らしている。
それなりに皆人間の言葉を理解しているよ。」
「8人も!?・・・あなた以外に見かけなかったわ」
「今ごろ、できの悪い仲間は大正池の「チップ」のところに
集まって人間の言葉を勉強しているからね。
僕自身、いつからここにいるのか記憶にないように
これだけ多くの人間が集まる場所だから自然に習得したのか、
元々理解できていたのか覚えがない。
でもコロボックルが人間と違うのは、仲間と会話する時は
語尾に『コロ』をつけるんだよ」
「『コロ』を!? キャハ、可愛いわね・・・『今日はいい天気コロ』とか言うの?」
「掟だからね・・・」
徳沢から明神までは帰りも同じルート。
包み込んでいる空の変化で
ここ上高地は常に表情が変わっていく・・・  つづく
 
  蕗の葉下の住人  20年12月9日(火)
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