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「時を刻むもの」に対し、友人の感想に自分との食い違いがあったため、
数人にリサーチしてもらった結果、やはり文章不足。
ファイナルと、解説に色付けをした。

コロンは前の時代でみどりさんのお母さんの恋人。
デートする時、みどりさんのお母さんは常にこの匂い袋を身に着けていた。
彼は前の時代でもこの香りに包まれていた。
時間の旅をする彼は、
「つぎのじだい」 に旅をした時は上高地のコロボックルに・・・
そこでみどりさんと出会い、奥深く眠っていた記憶が蘇っていく。
そして、再び肉体を置いて次の時代へ・・・
次の時代でも、みどりさんの娘のところへワープしてしまうことから
家系図を旅していると表現してみた。

何代も前に、時間の秘密を解いた時から科せられた旅。
「死」 を、その時代に置いていく肉体と表現するところに意味があった。
自分本位だけれど、万が一、自分が突然この世を去ることがあったとしても、
時間を旅しているのだと考えてもらうことにより、残された人たちは
少しだけ悲しみが萎え、早く立ち直ってくれるのではないのかと・・・
ブログを書いていく途中、父親の死を体験し、
それを自分に置き換えた時から 「死」 を 「時間の旅」 と、考えたくなり
いつのまにか
この 「時を刻むもの」 に、感情移入していきました。

               アダオブヘアー 小澤利雄 21年3月1日(日)


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 ファイナル読んだ友人からメールで質問攻め。
全部プリントアウトして、仕事の移動中に一話から読み直したと・・・
こっ、こいつは深入りしていたのか (正直嬉しい) ・・・と、思いつつ
「読み手に考えてもらうのが狙いだよ。」・・・嘯いた。
 
コロンは前の時代でみどりさんのお母さんの恋人。
デートする時、みどりさんのお母さんは常にこの匂い袋を身に着けていた。
コロンは前の時代でもこの香りに包まれていた。
時間の旅をする彼は、
「つぎのじだい」 に旅をした時は上高地のコロボックルに・・・
そこでみどりさんと出会い、奥深く眠っていた記憶が蘇っていく。
そして、再び肉体を置いて次の時代へ・・・
次の時代でも、みどりさんの娘のところへワープしてしまうことから
家系図を旅していると表現してみた。

何代も前に、時間の秘密を解いた時から科せられた旅。
「死」を、その時代に置いていく肉体と表現することに意味があった。
自分本位だけれど、万が一、自分が突然この世を去ることがあったとしても、
時間を旅をしているのだと考えてもらうことにより、残された人たちは
少しだけ悲しみが萎え、早く立ち直ってくれるのではないかと・・・
 ブログを書いていく途中、父親の死を体験し、
それを自分に置き換えた時から「死」 を 「時間の旅」 と、考えたくなり、
いつのまにか
この、「時を刻むもの」に、感情移入していきました。

カムチャッカでクマに襲われた星野さんは、
アラスカの大学で射撃で優秀な成績を修めていたにもかかわらず、
食物連鎖を知りながらも、銃を持たずに自然界の中へ入り込んで行った。

星野さんの作品に触れる度に 「きっとどこかで生きている」 気がしている。
それは作品一つ一つに永遠性を感じるから。
だから時空を超えるストーリーで、自分の永遠性を気取ってみたかったし、
ファンである星野さんを登場させたかった。
 
上高地を舞台にしたのは、
以前、単独で奥上高地の横尾までの往復を日帰り強行軍。
車の運転往復500キロ、徒歩往復20キロ。出発から帰宅まで19時間近く。
口を開いたのは左岸ルートのハイカーにすれ違う際の挨拶と、
横尾休憩所の 「焼きそば下さい!」 と 「ご馳走様!」 のみ。
この時は股関節を傷め、最後は痛みに耐えながら歩いた。
そのときのあらゆる印象が絵柄の中に残っているし、
本当にコロボックルが潜んでいそうなところも・・・

涸沢までは行った事がなく、以前知人が涸沢で撮影した人物の後ろに、
UFOが写る写真を見たときは一瞬鳥肌がたってしまう。
見たことのないような青空の下、高地とあって相当のシャッタースピードが、
謎の飛行物体を偶然収めてしまったのではないかと、ドキドキした。
 
 絵空事の世界だけれど、ボス猿のヤース・メッチ・みどりさんも
自分にとって関わり合いのある人たち。
血の赤を白と表現したこともそれなりに意味を持つ。
だから 「時を刻むもの」 は書きながらも
常にフィクション、ノンフィクションが混沌としていた。

自己満足の世界をこんな場所でずうずうしく発信できるのは、
図太さ?からきているのでしょうか・・・どうかご勘弁を・・・

          アダオブヘアー 小澤利雄 21年2月21日(土)
 


地上に横たわる自分の体からは、白い血が流れていた。
その体に別れを告げ、体勢を整えた直後に上空から強い光りを浴びた。
眼を閉じても残像が残るこの青い光りは、自分がおこした光りだった。
そして涸沢で長老が乗った飛行物体のように
この地、そしてこの時から一瞬にして離れ、自ら意識を落としていく。
 
・・・気がついたときにはベッドの上。
小さな明かりで、
遮光カーテンやクロゼットなどを薄っすらと見回すことができたが、
一瞬、夜なのか昼なのか悩んだ。
誰かと会話をしたはずなのに、相手が誰なのか記憶にない。
部屋にはみどりさんの匂い袋が漂っていた。
パタパタ音のフェードアウトと共に、香りに包まれたまま
体の重さに耐えられず再び意識は失せていく・・・
 
仰向けのまま一晩このベッドに埋もれていたようだ。
眠りについたときとあきらかに違うのは
出窓の遮光カーテンが両サイドに縛られていること。
今は白いレースのカーテンが眩しく、部屋全体がはっきり見渡せる。
 
ベッド脇で見つけた時計に釘付けになったまま
ずっと上高地のみどりさんのことを考えていた。
再びパタパタ音が近づいてくる。
音よりも先に、
開いたままの部屋の扉からこぼれている廊下の照明が、気配を感じさせた。
そして目の前に立った人間の表情に涙腺がゆるんだ。
「みどりさん・・・」

「何寝ぼけているの?母の名を呼んだりして。
    ひどい寝汗ね。はい、タオル。体を拭いたら朝ご飯にしましょう。
新聞を取りに言ってくるから、先にお線香を上げてね。」

厚みのあるドアが閉まる音と共に、人間の気配が遠のいていく。
みどりさん似の女性も、匂い袋の香りを残していった。
「あの女性はみどりさんの娘!?
 この肉体はみどりさんの娘の・・・恋人か亭主ということになるのか!?」
重い肉体をゆっくり起こし、激しい頭痛と目眩に耐えながらも、
壁を頼りに厚みのあるドアとは反対方向に、ゆっくりと足を運ぶ。

居間奥の和室には、やや年齢のいった女性の遺影とお供え物。
そしてみどりさんの写真。
上高地、徳沢のベンチに腰掛けていた時、
ハイカーにシャッターを切ってもらったものだとすぐわかった。
さらにその横には、上高地でみどりさんがリュックから取り出した
手のひらサイズの木箱が方向を崩さずに並んでいる。
遺影がみどりさんであることに気づいた・・・

「みどりさん・・・」
お線香をあげながらみどりさんに詫び、蘇った記憶をみどりさんに報告した。
 
「僕は旅をしていた・・・時間を越えた旅人。
時間の秘密を知った者のみに許されるわけではない。
時間の秘密を知った者は、長きにわたりひと所にいてはいけないという
神の勝手な論法に支配されている。
 『つぎのじだい』も、みどりさんのお母さんに自分が書き残したメモだった。
  僕はどうやらみどりさんの家系図上を旅しているように思える・・・
  新たな肉体もみどりさんのサークルの中にいた。
      「つぎのじだい」に旅するときは、新たな肉体を得ることができるが、
  前の時代の体を、「死」という形で置いていかねばならない。
  僕はその度、誰かを悲しませることになる。
  許されることならば、旅を終えたい・・・
  時間の秘密を解くべきではなかった・・・」
 
 旅の途中で、一度だけ同じ時間の旅行者に出会ったことを思い出した。
彼は時間を戻る選択をし、太古を探るのだと。
彼が語ってくれた、カムチャッカ半島に置き去りにした体の名は「星野道夫」 
その名も、
「みどりさん」そして「時を刻むもの」と共に
再び眠る僕の記憶の中に永遠に刻まれていく・・・        
・・・おしまい
 
         蕗の葉下の住人 21年2月19日(水)


 
しばらく様子を見たが、
結局、その足ではとても涸沢までたどり着けないことを説得した。
「わかったわ、帰りは景色を楽しみながらゆっくりと歩きましょうね。」
思わず安堵のため息が出てしまった。
足の痛みを誤魔化すために、喋り通しで時間をかけ河童橋まで戻ってきた。
「みどりさんと過ごすと、時が刻まれるのってすごく早く感じてしまうんだ。」
「ええ、楽しい時は残酷なくらいにあっという間に刻まれてしまうの・・・
 コロン、私の唇に触れてみて。」
木製のテーブルに肘をつき、広げた手のひらの上にいた。
「こう?」
「手じゃなくてコロンの唇で・・・」
アイスクリームの甘い香り残る唇からは、小刻みな震えを感じた。
 
「コロン、私と一緒に帰らない?」バスに乗る直前、
しゃがみこんで靴の紐を締め直しながらみどりさんは言った。
「・・・もうすぐ長老がやってくる。」
「わかるの?」
「感じるんだ。」
「とても不安だわ、胸騒ぎがするの・・・」
「大丈夫。足、早く治るといいね。」
「ええ、ありがとう。
三日後の土曜日にまた来るから必ず、必ず元気でいてね。」
「うん、みどりさんに後悔させない様にするよ。」
バスに乗り込んだみどりさんの後姿に
自分の吐いた言葉に罪の意識を感じながらも、この地での別れを告げた。
 
心にぽっかり穴が開いたように、すべての気力を失せたまま
梓川の流れをぼんやり眺めていた・・・
 
陽が傾き、辺りが薄暗くなりかけた時だった。
後方に突然気配を感じ、立ち上がり振り向いた瞬間、
意識したわけではないのに自分の体が宙高く舞った。
まるで眠っていた本能が一気に目覚めたような瞬間だった。
両手を広げ、片膝を曲げた状態で仰向けに浮いている。
時の刻みがスローモーションへと移行し、
そのまま首を右にひねり下方を眺めると、
もう一人の自分に向け長老が杖を振りかざしていた。
額の割れた地上の体は、
ゆっくりと、苔むした木の上へ仰向けに倒れていく・・・
次号最終回予定

       蕗の葉下の住人 21年2月14日(土)


みどりさんはまた三日後に、ここ上高地の
バスターミナルに入ってくる朝一番のバスでやってきた。
「昨日は取材で松本に泊まったのよ。
今日は涸沢の長老たちの住処に案内してもらうけどお願いね。」
そう言いながら左岸ルートを横尾方面に向い、早いペースで歩き始めた。
自分としては長老たちに見つかり、
掟破りの自分が抹消されてしまうことを恐れている。
みどりさんの左肩に乗りながらも
長老たちの居場所を案内することに戸惑いを感じていた。
二度とみどりさんと時を刻むことができなくなるかもしれない・・・
そんな不安を感じていた。ともに時を刻む自分を失いたくなかった。
 
「太古からの繋がりを感じているの」と
語っていたみどりさんの言葉に、懐かしい匂い袋の香り。
そして時折蘇る、満月に向って二人ひざまずき祈っている絵柄・・・
答えが出かかっている中で、みどりさんと出会えた今の自分は、
恐れという感覚を身にまとってしまった。
それは気配を感じることとは違う、
時を刻むものを超越してしまうことへの恐怖心・・・
 
「コロン、ちょっとごめんね・・・」
横尾がもうすぐ目の前という所で、みどりさんが足を痛めてしまったらしい。
なんとか横尾までたどり着き、
吊り橋前の階段に腰かけ股関節を揉み解しにかかった。
「ペースが速すぎたのかしら?」
「歩けそう?」
「なんとか・・・」
「みどりさん、今日はあきらめたほうがいいよ。ここまでの道のりは
平坦で歩きやすいけど、ここから勾配があって今の足では無理だと思う。」
みどりさんは腿を叩き、揉み解しながら
「あきらめきれないわ、少しマッサージして様子見たいの。」と訴えてきた。
下から覗き込み、目に薄っすらと涙を浮かべていた姿を見ると
複雑な思いが交錯してしまう・・・ つづく

       蕗の葉下の住人 21年2月12日(木)
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